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海外移築事業について | 戸田工務店
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海外移築事業について

はじまりは、2020年2月。

日本で宮大工修行の経験のある
アメリカ人建築デザイナー、エリック・カールソン氏が

『日本の「古民家」を母国アメリカで建てたい』と
古民家を譲ってくれる先を日本各地探し回っていました。

当時はどこも門前払い。

古民家を移築するなんて
しかも、国内どころか海外へなんて、夢のまた夢。
となかなか取り合ってくれなかったそうです。

そんな折、TODAの会長由信が理事長を務める
一般社団法人愛知県古民家再生協会の仲間内から

「もしかしたら、戸田さんなら…」と紹介され
TODAの本社に来社されたのがすべての始まりでした。

厳寒越後から移築された
黒光りする本社の古民家空間に一目ぼれされたエリック氏と
姉アンドレアさん、その夫丹羽さん。

「いつか、古民家を海外に…」と、
ぼんやりと夢を抱いていた会長由信と意気投合。

エリック氏の日本滞在期間に
TODAの古民家再生現場や古民家宿などを共に見て歩き
イメージを共有。

その時の新聞記事がこちら https://www.todasanchi.com/archives/23606
「アメリカ大陸進出に向けて パートⅠ」の記事はこちら
https://www.todasanchi.com/archives/24896

まさにそのタイミングで解体される古民家が新城にあり
そのたたずまい、大きさに一目ぼれしたエリック氏は
その古民家をアメリカに移築することを決意したのでした。

 

しかし、時はコロナパンデミックの最中。
一度帰国すると、しばらくは再来日は現実的に不可能という環境。

また、古材を輸出なんて前例も見当たらない案件。

ばらした古民家をどうやってアメリカで組み立てるの?
コンテナの確保は?輸送費は?検疫は!?!?

右も左も前も後ろも分からないことだらけで
振り返ると、よくもまぁここまでたどり着いたなと思います。

しかし、諦めてしまえばそこでお終い。

分からないながらに、ひとつひとつ課題をクリアしているうちに
気が付けば2020年も暮れになっていました。

 

本当なら、TODAの大工が
海を渡って現地で建前をしたいところ。

でも、コロナ禍でそれも叶わず
かといって、現地で古民家が分かるのはエリック氏だけ。

さぁどうする!?

そこで役に立ったのが
コロナ禍で急速に普及したオンライン会議システムZoomでした。

再び組み立てられるよう番号をつけ
手ごわしで解体した古民家の材料を

洗い、加工した後
なんと、作業場で一度建前をするという手の込みよう。

その一連の様子をzoomと動画で記録。

現地アメリカで同じ作業ができるようにと
工程を確認しながら組み立てていきました。

その時の記事がこちら https://www.todasanchi.com/archives/25461

建具もはめ、きちんと組みあがることを確認した上で
再びばらして梱包。

見たこともないような大きなコンテナが
新城の作業場を発ったのが2020年12月14日のことでした。

その時の記事がこちら https://www.todasanchi.com/archives/26303

エリック氏との出会いから1年。

戸田工務店の新たな事業が、大きく動き出した日でもありました。

 

年が明け、2021年1月23日。
新城から出発した古民家が、
アメリカオレゴン州ワラワに到着、との知らせが。

日本とは明らかに異なる風景の中で
新城の作業場で閉じられたコンテナが
そのままの姿でオレゴンの大地にあることに
感動を覚えたことを覚えています。

その時の記事がこちら https://www.todasanchi.com/archives/26737

 

そして寒く厳しい冬を越え、雪解けを待った6月。

ついに、アメリカの地で古民家が上棟されました。

麦わら帽子にジーパン、ボタンダウンのシャツ。

日本の大工さんによる建前とは一回りも二回りも
異なるアメリカンスタイルの建前に
本当にアメリカで古民家が建っているんだなぁ

と妙な実感を得たりしました。
まさにダイバーシティ。

その時の記事がこちら https://www.todasanchi.com/archives/27757

 

16時間の時差があり
現地で建前がスタートしたのは日本時間の真夜中。

大丈夫かな?無事建ったかな??
困って夜中に連絡が来たりしないかな???
なんて眠れぬ夜を過ごしたのも取り越し苦労で

一度も連絡が無いまま
日本は朝を迎えました。
現地は夕方。

この時にも役に立ったのがzoomでした。

建前後の爽やかなエリック氏と
眠れぬ夜を過ごしたTODA勢。

お互いに安堵のミーティング。

 

その後も、建築が進められ
内装工事が始まる前にはお茶会も。


構造躯体と建具だけの状態で
お茶会を開催するなんて
なかなか我々の発想では出てこないような…

このような文化交流も
海外事業ならではと感じます。

 

現在は、古民家(古材)を活かした
タイニーハウスのショールームを現地につくるため
2便目を新城にて加工中です。

その記事はこちら https://www.todasanchi.com/archives/28451

 

当初は、エリック氏と戸田工務店の
個人的なプロジェクトだった古民家海外移築も

その取り組みの珍しさや、古民家への注目度から
徐々に関心が広がり

今では
JETORO(日本貿易振興機構)https://www.jetro.go.jp/ さんや
豊橋商工会議所さん、豊橋信用商工組合さん
またTODAオーナーさまなど

様々な方からお声掛けをいただき、ご協力いただいています。

 

この事業のゴールはどこかと問われると
実はまだはっきりは見えてはいません。

ただ、日本国内では活かすことができず
ただただ朽ちていくのを待つばかりの古民家が
まだまだたくさん眠っているという事実。

いくら古民家の注目度や人気が上がっているとは言え
今よりさらに人口減少が進む日本国内では
救いきれない古民家がたくさんあるのは
明白です。

そして空き家期間が長いほど、再生は困難に。

時間がありません。

この道が正しい、絶対に事業性がある
これが古民家の救世主だ!!

…なんて、自信は微塵もなく

ただただ目の前に現れる課題を一つずつクリアしながら
この事業に関心を持って心を寄せてくださる方々のお力を
少しずつお借りして、今があります。

これがこの先、大輪の花に発展していくのか。
はたまた、つぼみのまま消えてしまうのか…

まだまだ分からない未来ですが

1つだけ言えるのは
何もしなければ、何も起こらず
ただ日本の古民家は消滅していくだけ。

不確実で先行きの見えない時代だからこそ
たとえ正解でなくても、確かな一歩を踏み出し
試してみることに価値があると感じます。

まだ、この事業は進んでいきます。

一緒に夢を見ませんか??