2021.11.20
古民家再生・海外事業の意義
今回は少し真面目な話をさせていただきます。
これまでの日本は
高度経済成長期を終えても
バブルが崩壊しても
ずっとその頃の幻想を追って
「経済成長」を求め、
スクラップ&ビルドを繰り返してきました。
しかし、2008年をピークに人口は減少に転じています。
それも、急激な少子高齢化とともに。
しぼみゆく国内市場が、これ以上成長するはずがない。
いつまで安い海外の労働力に頼り
環境負荷の高い「安い(本当に安い?)」ものを大量につくり
大量に消費・廃棄する形態を続けていくのでしょう。
建築資材も輸送コストもここ最近、上がり続けています。
古民家を活かし再生するには
手間もお金も、もしかしたら新築するよりもかかるかもしれません。
建築屋の本音としても、建替えて新築する方が正直楽。
しかし、手間も材料も丁寧に時間をかけてつくられていた古民家は
多少傷んでいるところがあったとしても
まだまだ活かせる材料であることも多い。
私たちは、古民家を
個人の資産である以上に、地球の資源であると感じています。
その古民家が、個々の事情でゴミにならざるを得ないのが
もったいないし、何より悲しい。
これまで、古民家再生を数多く手がけてきましたが
どうあがいても
人口減少で家が余っていくこれからの世の中で
個人の資産としての古民家再生には、先々に限界を感じています。
(もちろん、今の個人的な古民家再生も大歓迎です!!)
日本の資源であり文化である古民家を
海外に移築することには批判的なご意見もあるでしょう。
私たちも、それをメインの事業にと考えてはいません。
ただ、有り余る空き家・空き家予備軍の古民家を
国内で活かしきれるかと言われれば
おそらく難しいでしょう。
そうこうしているうちに
空き家となった古民家は劣化していくばかりです。
空気が動かなくなり、一度腐敗が進んでしまえば
再生が不可能になってしまいます。
大切な資源を消耗する競争市場に入っていこうとは思っていません。
ただ、日本に、日本の暮らしに、古民家、伝統構法に
心を寄せてくださる海外の方、または海外に住まれる日本の方は
きっといらっしゃいます。多くはなくても。
そんな方々が、
「日本の古民家を未来につなぎたい」と言ってくださるならば
いつでも扉を開けておきたい。
古民家が活きる、選択肢のひとつになるように。
それが、私たちが海外移築事業に取り組む意義です。