2020.8.24
木槽(木製水槽)とは何でしょう
お盆前、㈱日本木槽木管様の木造officeお披露目会をさせていただきました。森をイメージし、TODAの木組み技術、古材を存分に活かした独創的なofficeとなりました。
お披露目会に先立ち、工場長に工場のご説明をいただきました。とても興味深い内容でしたのでここに少し挙げさせていただきます。
日本木槽木管様は創業108年、日本では数少ない木槽を製造・販売されている老舗の会社です。(酒屋やみそ蔵にある木桶とは製造方法が違い、底板、側板を接着剤ではなく木の組み合わだけで組み上げ、鉄のバンドで締め上げていきます)
木槽は天然木で作られており、耐弱酸・耐弱アルカリ性で、断熱保温性能に優れ、衛生・安全・経済性・環境負荷の観点からも優れたパフォーマンスを生み出します。
海外ではアメリカ発祥のもので、ビルの防火水槽等に使われていて、災害の時叩き割って沈下することを目的としたものだったそうです。(タワーインフェルノという映画を思い出しました)
日本では昔、上下水道管を木製で作っており、木管という名前はその名残だそうです。(今では水道管は鉛⇒鉄⇒塩ビ管と推移し木管は廃れてしまいました)
木槽は受水槽のほかに、ウィスキーの発酵樽(発酵時は温度も上がり長期間過酷な状況となるので、木槽も底の厚いものにするそう)・ワイン樽・味噌樽・醤油樽・露天風呂の桶なども作っておられます。(発酵が進みやすい。自然木から出る風味を活かす。耐久性が強いという利点があるそう。)
使う木材は、それぞれ納入先の地元の材料を仕入れてくるところから始まり(その地域の気候に合うものはやはり地元の木だから)、それを板の状態で半年自然に乾燥させてから使うそうです。
TODAも、地元天竜のヒノキ杉を自然の天日で乾燥させたものを使っています。(一般的な建築材のように窯に入れ高温で乾燥させると、木独特の風合い、質感、空気感が損なわれてしまうと考えているからです)
天然木、地元材にこだわり、天乾材にこだわり、接着剤を使わずに組み上げ、木の風合い、風味を大事に考える・・・・・なんてうちの家造りと共通の部分が多いんでしょう!説明を聞いていて嬉しくなってしまいました。
基本的には水に強い杉材が多いそうですが、ウィスキーは発酵や独特の風味付けの観点から、樹齢500~600年の北米の松を輸入して使うそうです。(今回熟成樽の廃棄板を見せていただき、匂いを嗅がせていただきました。長い歳月で染み込んだウィスキーの匂いがとても魅惑的でありました)
こんなすごい製品を作る会社が、新城にあるなんて驚きではありませんか?実際の木槽を見たくはありませんか?
この近くでは、新城市役所庁舎の前、新城道の駅もっくる、浜松にあるいくつかの小学校の屋上で見ることができます。是非、気にして見てみてください。