2020.5.15
見える化
先日、新聞でも取り上げて頂いた曳家工事のお家ですが、WALLSTATというシミュレーションソフトを使いました。
WALLSTATは、京都大学生存圏研究所准教授の中川先生が開発したシミュレーションです。
柱、梁、壁、床、金物、重量等といった構造部材を入力して3D モデルをつくります。
モデルは改修前のものになります。
この家が大きな地震動を受けるとどうなるかを映像化します。
3Dモデルができらた計算をさせシミュレーションが可能になります。
上記の左から順番に壊れてますが、実際は静止画ではなく動画でみれ、地震動で揺れて損傷していくのがわかります。
今回の地震動は、極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強)という地震を入力しました。
建築基準法ではこの地震により、人命に危害を及ぼすような倒壊などの被害を生じさせないことを目標としています。
シミュレーションの結果は、画像のように倒壊してしまうので構造としてはNGです。
倒壊の要因は、
・全体的に耐力壁が少ない
・2階の下に耐力壁がない。
・下屋根で囲まれ、下屋根の水平耐力がほとんどない。
改修案では上記を補強した改修を行います。
日頃は構造計算や壁量計算を行い、計算書という文字や数字が羅列した資料で終わってしまいますが、
このソフトは、地震の際、どのように揺れ、どこがどのように壊れ、さらには倒壊するのかしないのかが見えるのでわかりやすいです。
画像の黄色→オレンジ→赤の順にダメージが大になることを表しています。
また、過去に起こった実際の地震で地震動が記録されているものであれば再現できます。
例えば、兵庫県南部地震とか、熊本地震なんかも再現できます。
熊本の地震は2回大きな揺れがあり、このソフトは1度シミュレーションして次にそのダメージのまま2度目を与えることもできます。
モデルをつくるのにそれほど時間はかかりません。
シミュレーションの計算にソフトとPCががんばってくれます。
『構造の見える化』ってすごいと思いました。