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50人ほどが集まった寮の懇親会で、その人は私の隣に座りました。後にミラノ工科大学に学び、いまもその地で建築家として仕事をするYさんです。Yさんは、最初からそこに集まった仲間とは一種違った雰囲気を発散させていました。親の援助を受けず、自力でミラノへ行き、建築家になることをめざしていたYさんからは、すでに一人前の大人の落ち着きが感じられました。その2才年上の同級生Yさんが、私に何かと人生観や勉強を教えてくれたり、特に旅することを勧めてくれたりしたのです。
郷里でおちこぼれていた私が、大阪では白紙になり、Yさんのような人が気さくにつきあってくれるのが、私にはたまらない喜びでした。だから私も、真剣にYさんとつきあおうと思いました。私はYさんと競争で勉強し、本を読み、旅をしました。一緒に旅をしたことはありません。いつも一人旅です。Yさんは「自分の意志ですることは、一人でするべきだ」という考えの持ち主でした。いつしか私たちは無二の親友になっていました。
「戸田、卒業したら、シベリア鉄道を使ってヨーロッパに行こうよ、一足先にミラノへ行くからヘルシンキまで来れば迎えに行くよ。」とYさんはそう言って、一足先に夢に向かって旅立って行きました。 |