
漆黒の闇の中、真っ赤な炎が生き物のように燃え盛り、土の器を呑み込んでゆく。1500℃を超える灼熱の炎に幾日も焼かれ、器は新しいいのちを与えられる―。
登り窯に火を入れる日は、誰もが分け隔てなく、一丸となって働きます。絶やすことなく薪を継ぎ足すのは重労働ですが、みんなの中には自然に一体感が生まれています。しんしんと更けていく夜の中、炎を見つめる顔・顔・顔。そこには仕事も肩書きも年齢も忘れた、ただの人間に戻ったやすらぎが満ちています。少し大げさかもしれませんが、それは原初の闇の中で取り戻す、無垢な自分と言えるかもしれません。
できあがった作品も、なかなか立派なものですが、それだけではない楽しみのために、皆さん、集まってくださっているようです。
そのことは、柿平駅の小さなホームに降り立った瞬間の皆さんのお顔を見ればわかります。それはまぎれもなく、遠い夏休みにふるさとの駅を訪れた、少年・少女の顔だからです。