冬の山を尾根伝いに縦走しているあなた。
冷たい雨がまとわりつくように降っています。
おまけに日が暮れかかり、風も出てきました。
体はすっかり冷え切り、「寒い」を通り越して「冷たい」という言葉がふさわしくなっています。
そうなると体の冷たさは心をも侵食しはじめます。
冷え冷えと殺気立って、攻撃的になっていく心・・。
その時、前方に見えた、チラチラとまたたく灯り。
山小屋です!
冷気とともに山小屋に駆け込んだあなたの目に、最初に飛び込んできたもの、それは真っ赤に燃えたぎった薪ストーブでした。
火の前にどっかりと腰を下ろしたあなた。
冷え切った体は再び生気を取り戻し、とがっていた心も炎の動きを見つめているうちに、穏やかに鎮まっていきます。
エアコンやファンヒーターでは、こうはいかないでしょう。動き回り、ぱちぱちとはぜ、香り立つ炎だからこそ、人はやすらぎを覚えます。それは太古の昔、火を得たことで闇を克服し、平和な暮らしを手に入れた遠い祖先の記憶にまでつながっているのではないでしょうか。
薪ストーブによって取り戻したいと私達が願っているのは、この人間本来の姿とも言うべき自然体に他なりません。