山旅で一番辛い事は、寒い事でなく“冷たい事”です。
その時期は、晩秋の雨に濡れ風に吹かれての3,000m級の岩稜地帯の、何も遮るものの無い尾根伝いの縦走の時です。
日が沈みかけた雨の中を一日歩き通して疲れ果て、辿り着いた山小屋で真っ赤に燃えたぎった薪ストーブが暖かく、母親の様に優しく出迎えてくれた事に、涙が出るほど嬉しく頼もしく思った事が、「私」と「薪ストーブ」との最初の出逢いでした。
冷たい風雨に打たれ、凍えきった自分自身の体を持て余し、疲れ果てた夕暮れ時の駆け込み寺の様な存在の<暖かい山小屋>。
それこそ銭金の世界を超越した、優しく頼もしい世界そのものです。
そこから色々の事を学びました。
火の暖かさは、人の心をときほぐし、癒しをもたらします。
と同時に、凍る様な冷たい空間は人の心を逆なでし、攻撃的な挑戦的な行動に導きます。
暖かな炎を眺める事で人は遥か昔、火で外敵から守られた“平和的な遺伝子DNA”を刺激し、人の本来の平和的な農耕民族としての優しさに目覚め、俗世界から遠く離れたこの自然の山奥の世界でこそ、再構築する事が可能に成ります。
私は山に入ると時計を外します。
と同時に、私の心の奥底で眠り続けていた体内時計が目覚め、山の中で動き始めます。
私の体験ですと、ほぼ機械時計と体内時計との間の時間差に大差は無く、人は自然の中に入り込む事で、潜在的に埋もれた野生的防御的本能に目覚め、生き延びる事に執念を燃やす事に全力を傾け始めます。
野生的人間に帰る事で、生き延びる本能を刺激し危険予知能力に目覚め、心の命ずるまま自身の決断に直に従う事で、未来を予測し、第六感の勘を刺激し、未知を予測し行動する事で、自然の中で生き延びるヒントを天から与えられます。
人為的な物の少ない山の中で、無に成る事で全てを自然に任せ、逆らわず自然体で直に事実と向き合う事で、自身の向かうべき道を見つけ出す事が出来るはずです。
また、体の中全てを高山の気圧の中にさらけ出し、入れ替えて洗い直す事で体全体に刺激を与えて、新たなる発想と想いに目覚め、下界に戻り少数派的考えに立ち、多数派にもの申す事で大成するのではないかと思う今日この頃です。
愛知県(豊橋市、豊川市、新城市)、静岡県で木の注文住宅を建てる工務店、愛知県の戸田工務店 